京の夏を彩るバリエーション豊かな甘いもん。
夏の和菓子1 老松の夏柑糖
数ある夏のお菓子の中でも、見た目もずばり夏みかんそのもので、貰って嬉しい「老松」の【夏柑糖(なつかんとう)】。戦後まもなく、もののない時代に、庭にあった夏みかんの果実に、少しの砂糖と寒天を合わせて作ったのが最初とのこと。身近なくだものだった夏みかんはグレープ・フルーツや甘夏に押されて、すっかり夏の市場から消えてしまい、懐かしい味わいとなりました。冷たい緑茶で爽やかな後味を楽しみましょう。
老松 北野店 http://oimatu.co.jp
Tel.075-463-3050
北野天満宮近く有職菓子御調進所
夏の和菓子2 松彌のうちわ
清流の青と、鮎の焼印を施した薯蕷(じょうよう)饅頭。黒文字をさして、うちわに見立てた小粋なお菓子です。
薄く柔らかな薯蕷で舌触りもなめらかなこし餡を包み、あっさりとした味わいに仕上げています。潔い配色と上品なサイズながら、おおらかな絵柄で眺めていると思わず笑みがこぼれます。冷やした緑茶と夏のひとときを。
京生菓子司 松 彌
Tel.075-231-2743
河原町二条西入二筋目上ル。
夏の和菓子3 亀屋重久の鮎菓子
求肥とは…もち米を粉をにして、水と砂糖を足し、火にかけて練り上げたの。 夏の到来を告げてくれる「鮎菓子」。京都の夏に欠かせない名菓です。昔は鮎の解禁に合わせて売られていたようですが、最近ではゴールデンウィーク明けにはお目見えしています。
求肥(ぎゅうひ)を卵と小麦粉の生地で包み、ふっくらした若鮎に見立てたシンプルな姿と味わいで、親しまれて来ました。手作業ゆえに一つひとつ表情がちがうのも、面白いところです。
京菓子司 亀屋重久 http://www.kameya-shigehisa.com/
Tel. 075-461-7365
御室仁和寺、妙心寺塔頭、神護寺御用達処
「鮎」227円(税込)
期間限定:5月上旬〜9月上旬
賞味期間:7日 地方発送:可
夏の和菓子4 亀廣保の有平糖
有平糖(あるへいとう)とは、砂糖に水飴を加えて煮詰め、さました後、伸ばして彩色した飴菓子のこと。南蛮菓子として、金平糖などと共に輸入されたもので、語源はポルトガル語で「アルヘイ(砂糖の意)」とされています。
干菓子専門店『亀廣保』では、四季折々の風物や歳時にあわせて美しくも可愛らしい干菓子を提供しています。「蛍」は琥珀色の飴を使った人気の品。「うちわ」と併せて夏を味わいたいものです。
亀廣保 http://www.kyogashi.com/kashokai/kamehiro.htm
Tel.075-231-6737
室町二條下ル、趣ある店構え
「蛍」1個110円(税込)
「団扇」1個150円(税込)
夏期限定商品
地方発送については要相談
夏の和菓子5 甘春堂の水無月
京都では一年の折り返しにあたる六月三十日に、半年の罪や穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願する神事「夏越祓(なごしのはらい)」が行われます。この神事に『水無月』が用いられてきました。 白い外郎(ういろう)の上に甘く煮た小豆を乗せ、暑気を払う氷に見立て、三角形に切り分けられました。氷が希少な時代に見た目だけでもと考えた先人の知恵です。
京菓匠 甘春堂 http://www.kanshundo.co.jp/
Tel. 075-561-4019
「水無月」1個249円(税込)
期間限定:6月1日〜30日
地方発送可:賞味期間は発送日含め2日程度(要冷蔵)
※発送はクール便
夏の和菓子6 三條若狭屋の祇園ちご餅
寺院や神社にゆかりのあるお菓子はご利益のあるものとして門前菓子や縁起菓子となり、日本各地に多く伝承されてきました。「祇園ちご餅」は、その昔祇園祭が始まる前に、稚児が八坂神社に参拝する行事があり、帰りに楼門の茶店で稚児が一同に味噌だれをつけた餅と飲み物を振舞いました。その餅が厄を除き福を招くと洛中の評判になりました。
長く途絶えていたこのお菓子を大正初期、創意工夫を加え京菓子として復活させたものが「祇園ちご餅」です。白味噌を甘く炊き求肥で包み氷餅をまぶしています。風雅な趣きのあるお菓子として、いまでは一年を通して作られています。
三條若狭屋 http://www.wakasaya.jp/
Tel. 075-841-1381 三条商店街東入口
Photos:Yamagata Shuichi (neutral)